最上級の結城紬 なのに・・・・・・
最上級の結城紬を御紹介します。
見た目は、あっさりした渋目の結城です。
淡いグレー地に、黒等の絣。
この結城紬は、絣が最高に細かいのです。亀甲に直すと160亀甲に相当します。
ちょっと専門的でわかりにくいと思いますが、
とにかく、絣が細かい。
細かいので、絣を着ける手間が、非常に大変です。
使用される糸も 非常に細い糸が使われます。
何といっても、柄うんぬんより重要視されるのが、この糸の細さ
なのではないかと思います。
この糸は、機械ではなく、蚕の真綿を丁寧に、一糸一糸 手で紡がれた物。
空気を含んだ真綿の糸は、ほっこりとし軽やか。
通常の重要無形文化財の結城紬の糸の約半分の細さになります。
反物を手にすると、その軽さに驚きます。
この結城は、その細い糸に撚りを掛けてある、「結城ちぢみ」といいます。
昭和50年~60年頃に織られたようです。
当時は、500万円~600万円の値段で売られておりました。
この値段は、手間を考えますと致し方ないでしょう。
タイトルの「最上級の結城紬 なのに・・・・・」というのは、
これだけの結城紬でも、重要無形文化財にはなっていないのです。
製作工程が原因のようです。
結城紬の重要無形文化財の指定条件は、
①手紡ぎ糸を使用する
②絣は手括りによる
③平織りで地機で織ること
の3つが条件ですが、この結城紬は
地色が薄い為、手で絣を括るのは無理なので、糸に染料を刷り込む 「摺り込み絣」
になるので、②の条件から外れ、
ちぢみ織りなので、③の条件にも外れており、
重要無形文化財に指定されておりません。
一般に「結城紬」というと、消費者も、小売店も問屋さんも「重要無形文化財」を
重要視してしまいますが、それを上回るこういう素晴らしい結城紬もございます。
現在は作られる事は殆どなく、今後は廃れていってしまう
技術なのかもしれません。
この結城紬は、古い着物を解き洗いしたものになります。
糊をおとされた柔らかな、本物のみが持つ味わいを触りにお越しくださいませ。
ちなみにこの結城のお値段は、仕立て上がって98万円になります。
by 山形は寒河江の「きもの大長」 おやじ
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