結城紬
「紬」の中でも王様といわれる「結城紬」。
「きもの大長」もこの「結城紬」には特に思い入れが強い紬のひとつです。
風合いや、色合い、など文章では表現しづらいのですが、
他の文献などより、抜粋し掲載させていただきました。
重要無形文化財としての指定要件
結城紬の地機(いざり機)重要無形文化財に指定された際、定められた要件は以下の3つである。
1:使用する糸はすべて真綿より手紡ぎしたもので強撚糸を使用しないこと
2:絣模様を付ける場合は手くびりによること
3:地機で織ること
以上の3要件のすべてを満たさない場合は重要無形文化財とはみなされないが、「本場結城紬」であることには相違ない(「本場結城紬」は元々は高機で織られたものにも証紙を貼るためにつけられた登録商標である)。現在は絹紡糸、絹糸と交ぜて織る半工業製品も生産されている。
2004年に発覚した「重要無形文化財指定」証票の不正交付は、絣が手くびりではない「すり込み」(以下参照)に対して行われていた。他の2項目は満たしており、価値は重要無形文化財に相当すると結城紬技術保存会が判断したためと思われる。翌年から「重要無形文化財」の表示はなくなったが、認定を取り消されたわけではない。
重要無形文化財結城紬の製作工程
糸つむぎ
繭は重曹を薄めた湯で2〜3時間位煮込み、柔らかくした後、ぬるま湯の中で5 - 6粒程をこぶしで広げながら重ねて1枚の真綿を作る。
中の蛹が生きた状態で煮たものを「生掛け糸」と呼び、ツヤのある丈夫な糸になるというが、以前は保冷技術が未発達だったため希少品であった。
乾燥させた真綿約50枚(約94g、1匁)を1秤とし、約7秤で1反の結城紬の材料になります。
真綿をさらに両手で広げ「つくし(竹筒にキビガラを取り付け台座に立てたもの)」と呼ばれる器具にからみつけ、その端から糸を引き出す。
片方の手で糸を引き、唾液をつけたもう片方の指先で真綿を細く捻るようにしてまとめ糸にする。
均一な太さを保つためには熟練した技が必要であり、特に40 - 50歳の女性のつむぎ手の唾液には粘りがあり照りのある良い糸ができるという。
引いた糸は「おぼけ」という容器に溜めてゆき、一秤分の真綿が全て糸になった状態を1ボッチと呼ぶ。
個人差はあるが1ボッチの糸つむぎにかかる日数は7 - 10日、長さは約4 - 5千メートルである。
その後、糸あげと呼ばれる作業で枷の状態にする。
整経
整経と呼ばれる作業で糸を決められた長さと本数に揃え、経糸(たていと)を作る。
結城紬1反は品質検査の規定で3丈7尺(約12.3 m)と決まっているため、それに余裕を持たせた約14 m程とする。
本数は上糸640本、下糸640本、計1280本が必要であり(無地や縞柄の場合)、これは反物の幅約9寸5分に相当する。
絣くくり
経糸を枠に巻き付け、図案に従って竹のへらで墨をつけてゆく。
墨をつけた部分を綿糸で縛る作業を「絣くくり」または「絣くびり」という。縛った部分には染料が入らないので色がつかない。
この無染色の部分の組み合わせで絣模様となる。縛りが弱いと染色中に綿糸が取れたり染料が入ってしまうため、絣くくりは一般的には男性が行う。
反物一幅に入る亀甲の数で柄の細かさは概ね4段階に分けられるが、縛りは一番単純とされる80亀甲(反物の幅に80個入る)で160箇所、
最高の細かさである200亀甲では約400箇所にもなる。1反全体で数万カ所の縛りが必要となる場合もあり、
絣くくりだけで数カ月かかる場合もある。
また、複数人での仕事は縛る強さが変わってしまうため、最初から最後まで1人が行わなければならない。
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